琵琶の種類 / 盲僧琵琶 / 詳細図像
 
※ 詳細図像は、全図像(37面)の中から9面のみ選出し、薦田教授の解説を別頁(P.22~25)より挿
 入しました。
 

1.古盲僧琵琶 (宮崎・伝景清琵琶)

●伝景清琵琶・宮崎市故川﨑眞鏡蔵

この琵琶は江戸時代の文書にも記され、古典琵琶との共通点を多く持ち、盲僧琵琶の中でもとくに注目を集めてきた。独自の特徴としては、柱と乗弦が古典琵琶よりもさらに低いこと、乗弦の形などが挙げられる。付属の撥は薩摩盲僧琵琶のものと共通する。(報告書P.23)

2.薩摩盲僧 (えびの・三徳院)

●宮崎県えびの市・聞法山三徳院蔵 

薩摩盲僧を統括した常楽院管轄下の盲僧寺院に蔵される琵琶である。平家琵琶と薩摩琵琶の中間的な形態を示す。まず、古盲僧琵琶と多くの共通点を持つが、柱が高く、乗弦も大きく、乗弦下の高さが高い、二つの半月が平行ではなくハ字をなすように付いている。(報告書P.23)

3.日向盲僧 (延岡・永田)

●延岡市・永田法順蔵

調査したのは、日向の盲僧触頭であった浄満寺にある琵琶で、同寺の古い琵琶を模して作られたものである。反手と乗弦が一木で、柱の上に煤竹をはる、腹板がはめ込みであるなど、筑前琵琶との共通点もあるが、6柱を持つこと、丸い海老尾先、覆手下の支柱、撥などは独特の形をしている。乗弦上で紙縒りを弦に巻き、サワリ効果を得るのは、所蔵者の工夫である。かって、浄満寺には薩摩盲僧に似た乗弦の形の笹琵琶もあったようである。(報告書P.24)

4.肥後盲僧 (南関・山鹿)

●南関町・故山鹿良之蔵

故山鹿良之使用の琵琶である。右は幅が広く輪郭は筑前琵琶に似ている。山鹿は、県北部の南関町に住み、県境を越えて活動したので筑前琵琶風の琵琶も用いたと思われる。(報告書P.24)   

5.肥前盲僧琵琶 (小城・光岡)

●小城市・故光岡正順蔵、佐賀県博現蔵

肥前の盲僧琵琶は1点しか調査ができていない。6柱のうぐいす琵琶である。5色に塗り分けられているのが珍しい。付属の撥も開きが小さく、握り部分の厚さが薄い特異な形をしている。5柱のうぐいす琵琶の例は、長崎県平戸にもある。(報告書P.24)

6.筑前盲僧 (田主丸・国武) 

●田主丸町・故国武諦浄蔵

組み立て式の琵琶である。幅の広い胴を持つ。分解して箱に収めて持ち歩けるように作られている。撥は肥後盲僧同様、太棹三味線の撥によく似る。(報告書P.24)

7.豊前盲僧 (求菩提)            8.国東盲僧 (国東・高木)

●豊前市・求菩提資料館蔵

半月の部分には孔がなく、日月が付く。撥は肥後や筑前同様太棹三味線型。(報告書P.25)

●故高木清玄蔵・国東町歴史体験館現蔵

最後の国東盲僧となった故高木清玄の所蔵品である。清玄氏は筑前四弦を用いていたが、今回はうぐいす琵琶を調査した。半月は孔がなく日月模様。肥前のうぐいす琵琶と異なり、5柱で柱も筑前盲僧程度の高さがある。(報告書P.25)


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